There is always light behind the clouds.

昔ながらのフレンチが食べられる軽井沢の隠れた名店

 現代のフレンチ料理は綺麗な内装、高貴な食器、見た面から洗練さを伺わせる盛り付け、そして、それらに比例した高めな価格、という何か特別な日でなければ味わえない料理である。もちろんビストロのように気軽に入れ、値段もそこまで高くないお店も多々あることは確かであるが、やはり漏れなく現代のフレンチの最大の特徴でもある、視覚に訴える盛り付け等の流行りからは逸脱してはいない。
 そのようなフレンチ料理がひしめく日本の中だからこそ、輝きを放つお店がある。そのフレンチ料理店の名はボンパパである。ボンパパは、元は東京の青山に店を構えており、夏の間だけ軽井沢でお店を開くスタイルで展開していたが、現在は軽井沢だけで営業している。軽井沢といっても旧軽井沢や中軽井沢といった中心地ではなく追分という御代田町寄り、エキシブ軽井沢の付近にあると思って頂ければわかり易いだろう。店は一見わかりづらく、道路沿いに小さめの看板で案内がされているだけである。看板に案内され住宅街を50m程進むと現れる、見た目は個人邸宅を思わせる、アットホームなお店がボンパパである。
 外見と違わず、内装もどこか安心できる雰囲気に包まれている。行ったこともないフランスの片田舎の家に迷い込んだような感覚さえしてくる程だ。このお店の特徴は、店の玄関にも書かれている通り、完全予約制のコース料理のみであり、1品料理等のメニューは存在しない。あるのは選びぬかれた銘柄が数多く載っているワインリストだけだ。予算は概ね7000円~15000円の範囲で予約することができ、最初からは言いづらいが、コース構成や食べたい食材等の要望は、限度があるものの、極力叶えてくれることも知ってもらいたい。
 コース構成は普通のフレンチと変わりはしないが、一品一品が妥協なしのクオリティなのは間違いない。シェフは単身フランスに行き、様々な地を、時に危険に遭いながらも料理とワインを愛し、廻られた方なだけあり、どの品も他のフレンチレストランでは味わえない、古きよきフレンチを思い出させる逸品ばかりである。また何よりもワインとの相性を大事にされているので、ワイン好きにはより堪らないフレンチだといえる。料理の盛り付けも現代風とは一線を隔しており、見た目はとにかく美しさよりも美味しさを強調している。見るより味わえと感じさせ、料理本来の姿と言えばいいのか、料理とはこういうものだと、改めて認識させられるのだ。
 そして最後にこのお店の見えない特徴として、来店した客それぞれの好き嫌い、料理内容、そして飲むワインの情報を全て記録していることが挙げられる。この特徴は、このお店が営利目的よりも、食する人のことを第一に考える姿勢をまさに反映している。このホスピタリティ溢れるお店のようなフレンチが増えることを願う次第である。